養殖ビジネスは儲かる?
こんな時代だからこそ、頼れるのは自分だけ。“安定”は副業で手に入れる!技術、知識、体力、時間、やる気のどれかひとつがあればOK。
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ここ数年、テレビや雑誌で紹介される機会が多いのが��養殖ビジネス″。
マンションのワンルームでカエルや昆虫を育てて、ン百万円儲けたなんて話もよく聞くけど、これってホントなの?
ガキの頃から鈴虫や金魚を育てるのが得意だったオイラは、興味津々の面持ちで都内某所にある養殖ビジネス会社を訪ねてみた。
この会社が主に扱っているのは、コオロギ、アフリカツメガエル、ウォームなど、飼料や実験に使う生き物や、オオクワガタなどマニア向けの高価な昆虫。
1階にあるガラス張りのオフィスは、表通りから丸見えで、怪しげな感じはまったくない。
応対してくれたのは20代半ばくらいの爽やかなスーツ姿のお姉さん。
かなりの美人だ!
黒いダイヤモンド・オオクワガタで年収1000万円!
失礼かとは思ったが、何を育てるのが手っ取り早く儲かるのか?を開口一番に尋ねてみる。
「う〜ん、一概には言えませんね。
手間のかかりかたもそれぞれ違いますし、お客様の好き嫌いもありますからね。
女性の方のなかには、カエルだけは絶対にイヤって人も多いんですよ。
ま、今のところ一番手がかからなくてラクなのは、オオクワガタでしょうか」
と、おもむろにクワガタのパンフレットを差し出すお姉さん。
オオクワガタとは、��黒いダイヤモンド″とも呼ばれている希少な昆虫で、天然モノの大きな個体になると数百万円もの値段がつくこともあるという。
「クワガタの場合、幼虫からサナギになるまでは、バイオ素材のエサの入ったビンの中に入れておくだけですから、飼育も比較的ラクなんです。
稲と同じで、後は収穫するだけですからね……」
そう言いながらオガクズのようなものが入った飼育瓶を見せてくれる。
この中に1匹ずつ幼虫が入っていて、成虫が顔を出したら出荷すればいいだけだとか。
拍子抜けするほど簡単である。
「ただ、自然界のように1年に1度だけ産卵させていては、意味がありません。
とにかく数を増やすため、2カ月に1度産卵するような環境を人工的に作ってあげなくちゃいけないんです。
そのために、部屋の温度を1年中、20〜23度に保っていただきたいんですよ」
ってことは、1年中、それも夜中もエアコンかけっ放しってこと? 電気代が大変そうだなぁ〜。
「春や秋は必要ありませんが、その他の季節は、どうしてもエアコンが要りますね。
でも、押し入れの中で飼っている学生さんなんかは、夏はペットボトルに入れた水を冷蔵庫で凍らせて、押し入れに何本も並べてクーラー代わりに使ったり、工夫しているようですよ」
ちなみにエアコンの電気代は月に3万円くらいは覚悟しておいたほうがいいとのこと。
クワガタは低い温度には強いが、高温にはめっぽう弱いので、夏場の締め切った部屋で40度以上になったりした場合は全滅必至とか。
こりゃ、心配でおちおち会社になんていっちゃいられない。
さまざまな飼育コースが用意されているが、
おすすめなのは、オスメス15匹ずつと、飼育用品がセットになった44万円のコース。
ちなみにこの会社では、無制限の買い取り保証も行なっていると言うが、いったい1匹いくらで引き取ってくれるのだろう?
「サイズによって細かく分かれておりまして、50〜64ミリが500円、70〜73ミリが2000円、それ以上のサイズになると1万円で買い取ります。
成虫になってから大きくなることはないので、いかに幼虫時代に大きく育てるかが、勝負の分かれ目なんですよ。
そのために当社では、バイオ技術による特殊な餌を開発し、みなさまにお分けしているんです」
引き取り価格の意外な安さにガッカリしたが、小売りと仕入れ価格は違っていて当然だ。
ちなみにおすすめコースを選んだ場合の収益予想シートを拝見すると、経費をすべて引いた純利益が1年目で約40万円、10年目には1年で約1000万円! す、すごい……。5
しかし、回りを見回してもクワガタをペットにしてるやつなんて見たことないし、そんなに需要があるとは思えないんだけど……。
「いえいえ、日本中にマニアの方がいらっしゃいますから、需要は安定しています。
普通、昆虫は1年で死んでしまいますが、オオクワガタの場合3〜5年も生きるんです。
だから人気も高いんですよ」
う〜ん、信用してもいいのかな? とりあえずクワガタマニアの総数を調査してから契約したほうが安全でしょうね。
ゴミムシモドキの養殖
次に説明してもらったのは��グレートウォーム�≠ニいう名前の体長4〜5センチのミミズのような生き物。
日本語に直訳すれば��偉大なる虫″ってことになるけど、いったいこれってなんなの?
「これこそが今、世界で一番注目されている虫なんですよ。
動物や昆虫の餌や、貴重なタンパク資源として利用できるほか、人間の食用にもなるんですよ」
ひと昔前に、某社のハンバーガーがミミズの肉で作られているという噂が広まったことがあるが、もしかして、これがそのミミズなの?
はっきりしたことは教えてくれなかったが、大量生産可能な飼料・タンパク源・バイオ素材として期待を集めているのは確からしい。
「ウォームの利点は、とにかくどんどん増え続けることなんです。
コオロギやスズムシも同じように増えますが、これは鳴かないから飼いやすいんですよ」
クワガタと同様、温度を保つためのエアコンは必要だが、衣装ケース1つに何千匹も飼うことができるので、6畳1間で3〜6万匹の飼育も可能だ。
軌道に乗れば1週間に1度、千匹単位で出荷できるようになるとか。
おすすめ飼育コースは、ウォーム2000匹と飼育マットが付いたセットで44万円。
こちらも買い取り保証を行なっていて、値段は1匹3円。
単価はクワガタと比べて安いものの、生命力が強そうだし、出荷作業だけ我慢すれば、ズボラなオイラにもできそうだ。
しかし、いざ実物を見せてもらって、あれ?と疑問がわいてきた。
ずっとミミズだと思っていたけど、なんだか小さな足がついていてチョコマカ歩き回っている。
これってミミズじゃなくつて、何かの幼虫なの?
「……。えっ、ハイ。小さな甲虫の幼虫なんですよ」
いままでハキハキとしゃべっていたお姉さんの口調が急に重くなる。
小さな甲虫ってなんなのよ?と恐る恐る尋ねると、オイラの目を見ないでこう答えた。
「え〜とですねぇ、ゴミムシモドキの子供なんですよ。………でも、決して気持ちの悪いものじゃないから安心してください。
私なんかでも全然平気で触れますから」
ゴ、ゴミムシモドキってか!ってことは、卵を産ませて増やすためには、ウォームだけじゃなくってゴミムシモドキも大量に育てなきやいけないわけだ。
仕事から疲れて帰ってきて、部屋一杯のゴミムシモドキにせっせと餌をやってる自分の姿を想像したら、急に哀しくなってきた。
トホホ、なんだかヤル気が失せちゃったよ。
カエルの養殖
意気消沈している俺を気にしてか、お姉さんはいきなり��アフリカツメガエル″に話題をチェンジ。
このカエルは、薬の開発や遺伝子の組み替えなどに使われている実験生物で、
スペースシャトルで毛利さんが、人工受精などの実験を行なう際に使用したことでも知られているとか。
雑誌やテレビで見たことはあったが、実物を見せられて、一瞬気を失いそうになった。
かなりグロイ! プリプリに太ったねずみいろのカエルが水を湛えた衣装ケースの中に80匹以上ひしめいてる様子は、ホント尋常じゃない!
「カエルは、人によって好き嫌いが分かれるんですよ。
でも最初は気持ちが悪いと思っていても、慣れれば手袋なしでも触れるようになりますから大丈夫ですよ」
お姉さんは平然とそう言うものの、こんなものが部屋にいたら、おちおち、お客も呼べやしない。
普通の女性ならひとめ見て卒倒しそうなはど、エグイのは事実だ。
ましてや、こいつらを育てるには結構手間がかかるらしい。
「気温を20〜25度に保っていただくほか、最低でも3日に1度は水代えが必要になります。
清潔に保つには毎日水代えしていただいたほうがいいかも知れません。
だから排水のできる場所じゃないととても無理ですね」
カエルの飼育コースは、成体のオスとメス、それぞれ18匹と当面の餌などがついて40万円。
育ったカエルは1キロ3000円で買い取ってくれるという。
一度に200〜2000個の卵を産み、年間に4〜6回の産卵をさせることが可能というから、単純に計算すると、あっというまに部屋がカエルだらけになっちまう。
ってことは、狭い部屋で「ゲロゲロ」カエルの大合唱が始まるってこと? うるさくて寝られないじゃんよ〜。
「いえ、アフリカツメガエルには舌が無いんですよ。
だから鳴くことはありませんから、ご安心ください」
じゃあ、オイラがやるのは水代えと餌やりだけでいいわけか。
見ためのグロさを気にしなければ、金魚を育てているのと同じって考えていいのかな?
「ただ、クワガタやウォームなどの昆虫とは違うので、気温を一定にしておいても普通の状態じゃ、カエルは年に1度しか産卵しないんです。
そこで無理やり交尾させるために、ホルモン注射を打ってあげなきやいけないんですよ。
でも心配は要りません。
注射器やホルモン剤は飼育セットの中に含まれているので、お客様は注射を打てばいいだけですから」
ゲロゲ〜ロ! カ、カエルに注射打つのかよ〜。ぎもぢわる〜!
「ごめん、悪いけど俺もう、カエルわっ!」なんてべ夕な酒蕗でごまかして、そそくさと席を立った。
やっぱりこの仕事、私には出来そうにない……。
相手が生き物なだけに、病気になって死んじゃうことだってありえるし、そうなれば一瞬にして大金が水の泡。
成功すれば利益率も高いが、手間暇かかるだけに失敗した場合のリスクも大きい。
養殖ビジネスに関する悪い噂
このテの業者の中には、少なからず悪徳業者も存在する。
「完全買い取り制」を掲げておきながら、飼育家から郵送されてきた昆虫やカエルを殺虫剤で殺して「移動中に死んでいたから」と買い取りを拒否したり、
誤った育て方を教えてわざと失敗するように仕向けたりする場合もあるらしい。
もし、アナタが本気で養殖ビジネスに取り組むつもりなら、業者のハナシを鵜呑みにしないで、事前に昆虫やカエルの生態をよく知る専門家に相談したり、学術書を読んで知識を身に付けるなど、自分なりの努力は必要。
また、養殖ビジネスは単なる金儲けと考えていては絶対に続かない。
動物や昆虫を育てることに、ある程度興味のある人にしか向かない仕事であることを肝に銘じておくべし!
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