書店員のアルバイト・仕事内容
こんな時代だからこそ、頼れるのは自分だけ。“安定”は副業で手に入れる!技術、知識、体力、時間、やる気のどれかひとつがあればOK。
楽しみながら稼げる副業ワールドに、さあ飛び込め。
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ある地方の郊外型書店での話である。
オープンに先立ち、新聞の折り込みチラシでパート・アルバイトを募集した。
応募定員は20人。
ところが、その朝から事務所の電話は鳴りっぱなし。
届いた履歴書は300通。
「面接するだけでヘトへトになりましたよ」と店長は言う。
というのも地方の小さな町のこと、バイト希望者は店の潜在的客でもある。
ろくに面接もせずに断れば、客を失うことになる。
悪い評判がたてば、商売に差し支える。
東京や大阪など、バイト先に不自由しない大都会は別として、地方では書店員のバイトは人気ナンバーワンである。
その理由は、(1)汚れない、(2)仕事がラク、(3)世間体がいい、(4)安全。
特に地方では(3)が重要で、農協や役場の臨時職員と並んで親が安心して娘を働かせられる数少ない職場のひとつとなっている。
毎年、春になると、
「ウチの娘っこったら、就職がねぇから、東京さいくと言ってきかねぇだ。
なんとかこの店で雇ってくれろ。
給料は小遣い程度でええから」
と、店長にネジこむ父親が増える。
では実態はどうなのか。
ホコリつぽい。
たしかに飲食店の洗い場のように長靴の中まで濡れることはないし、土木作業のように泥まみれになることもない。
しかし、書店は小売業の中では客数が断然多く、ということは土挨などがひっきりなしに持ち込まれている。
目に見えないぐらい細かなチリ、ホコリが多い。
指先なんかすぐ真っ黒になる。
書店は肉体労働である。
1冊1冊の本や雑誌は軽くても、箱詰めされたそれはかなり重い。
年末や年度末は出版社が狂ったように新刊を出して書店に送りつけてくる。
書店はそれに負けじと返品を作る。
本がぎっしり詰まった段ボール箱を運ぶのは重労働だ。
書店員の職業病は腰痛である。
重い荷物を持つにはコツがいる。
花粉症の季節、挨っぽい作業場で段ボール箱を持ち上げた瞬間にくしゃみして、1週間寝たきりになった書店員もいるそうだ。
本=知識、なんて連想が働くのは、ごく一部の人にすぎない。
東京のある下町では、「書店は子供の教育に悪い」というまことに正しい認識がされていた。
書店といえばエロ本屋ばっかりだったからである。
書店のなかで働いている限りは、上から鉄骨が降ってくることもなければ、対向車線からトラックが飛び込んでくることもない。
しかし、他の小売業と同じく、まったく安全とは言い切れない。
客に「閉店でございます」と声をかけたとたん、カウンターパンチを食らった書店員がいる。
私の友人が書店員のバイトをやっていた時があって、万引きを取り押さえたら、ポケットからナイフが出てきてゾーッとしたことがあったらしい。
というわけで、書店のバイトはなかなかつらい。
腰の弱い人、鼻や喉の粘膜が弱い人、風邪をひきやすい人、扁平足の人、大金を溜めたいと思っている人には向かない。
最後の2点は、書店の基本は立ち仕事であること、給料は安いこと、などによる。
じゃあ、書店のバイトなんか、よしたほうがいいのか。
いや、そんなことはない。
「一度はやってみろ、書店員」と私は言いたい。
なぜか。
働く充実感を得やすい。
これはとても重要なことである。
書店業界はあまり人件費をかけられない。
社員は店長だけで、他の従業員は全員バイトという書店も珍しくない。
なかにはその店長すらチェーン店を5店舗ぐらい兼務していて、実質上はバイトがすべてを切り盛りしているなんて書店も少なくない。
普通、書店でバイトを始めると、最初はレジか倉庫での返品作業をやらされるはずだ。
しかし、仕事に慣れてくると、店頭の棚を任されたりもする。
「君、アイドルが好きなんだって? じゃあ、今日からアイドル写真集の担当をやってもらうから」
なんて店長に言われてしまうのだ、書店員歴わずか3週間の学生が。
で、棚の管理だけでなく、商品の注文や返品まで任されたりしちゃうのである。
これは日本の出版流通制度が再販制と委託制を基本としているため、少々の注文ミスも返品で乗り切ることができるからである。
仕事を任される。働いていて、こんなに嬉しいことはない。
本来、自分で発注した本が売れようと売れ残ろうと、バイト料は変わらないはずだ。
しかし、自分で仕入れた本が売れると、なぜか嬉しいのである。
この嬉しさに酔って、学校を中退して、あるいは進路を変更して正社員の書店員になってしまう人も少なくない。
そして、後悔する人も少なくないのだが、それはまた別の話である。
研究職を目指している人にお勧めのバイトである
調べもののポイントがわかる。
日本の出版流通は、外部から見ると不可解なことが多い。
今日の朝刊に大きく広告が出ていたあの本が、なぜ近所の書店にはないのか、注文すると「2、3週間かかりますよ」なんて言われるのか。
しかし、そうした事情も、書店でバイトしているうちに飲み込めてくる。
業界事情がわかっていると、書籍や雑誌などの資料を探したりだけでなく、古本屋や図書館の使い方までもがだんだんとわかってくる。
将来、研究職に就きたいと思っている人、編集者をはじめメディア業界で働きたいと思っている人などには特にお勧めである。
繰り返すようだが、書店業はあまり儲からない。
バイトの募集にもいちいちカネをかけない。
求人誌に広告を出したりチラシを撒いたりするのは大きな新規店舗を作るときだけである。
通常は店舗の片隅に貼り出される「アルバイト募集」の手書きポスターを見る。
ひとつだけ注意。
労働の充実感や調べものテクニックの習得を目指すなら、あまり大きな書店は狙わない方がいい。
巨大書店では作業が細かく分業化していることが多く、働いていてもあまりおもしろくない。
どうせ働くなら、ほどほどに小さな書店である。
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